第3回コネクテッド・インダストリーズセミナーを開催しました

労働人口の減少を背景にロボットの導入がますます注目されています。ロボットの導入に際しては、高性能化・低価格化が進展する一方、ロボットを使いこなせる人材の不足が課題となっています。

そこで、このセミナーでは、個々の企業の課題に応じて適切なロボットやシステム構築を支援する“ロボットシステムインテグレータ(※)”をお招きし、導入のポイントや、幅広い分野でのロボット導入事例をご紹介いただきました。

 ※ロボットシステムインテグレータ(ロボットSIer)・・・ロボットを用いたシステムの導入提案や設計、組立などを行う事業者

 

第 1 部 ロボットシステムインテグレータの役割、最先端技術によるロボットアプリケーションの紹介

講師:株式会社バイナス 取締役営業部長 

    下間 篤 氏

 

講演内容の要旨は以下のとおりです。

当社はロボット&FA(ファクトリーオートメーション)事業として、各種制御技術、FA・ロボット技術などを活用した生産設備の設計・製作を行う産業ロボットシステムインテグレータです。得意領域は、最先端センシング技術を駆使した手組み工程など、様々な製造工程に対応した設備の製作で、アプリケーションの提案も行っています。またFA教育システム事業として、自習用装置の開発販売を行っており、教育センターも開校しました。当社の社長は、昨年発足した「FAロボットシステムインテグレータ協会」の副会長を務めております。

 

ロボット産業の市場は、2015年1.6兆円に対し2020年は約3兆円と、5年で2倍の予測が立てられています。これまでは主に「大手製造業での大型ロボット」でしたが、ここ数年「あらゆる業界や分野での、中・小型ロボット」へ市場が変わってきています。近年、ロボット技術は飛躍的な進化をとげ、6軸の垂直多関節ロボットやスカラロボット、パラレルリンクロボット、IP69K、協働ロボットなどが開発されました。カメラは人の目に代わる機能を追求し、処理スピード、画像解像度や寸法測定の精度も向上しました。また、チャックハンド、吸着ハンドなどのエンドエフェクタや、触覚センサー、力覚センサーなど、実際に人間の手や指の感覚に近いものができたことなどから、今まで不可能と思われていた工程が可能になってきています。深刻な労働力不足や技術の伝承の問題を、自動化のロボット導入で補えるようになってきています。

 

ロボット導入による自動化については、まず、ロボットシステムインテグレータにご相談いただくのが、近道です。ロボットは、単体だけでは作業の自動化の役割を果たすことができません。ロボットシステムインテグレータは、ロボット導入の際、現場の課題を分析し、最適なロボットシステムを構築するために、エンドエフェクタなど様々な周辺設備から必要なものを選別して組み合わせ、最終的にロボットアプリケーション装置を完成させる、言わば、ロボット導入に必須な存在です。

 

ここで具体的な導入事例を紹介します。

・検査工程の自動化・・・コンベアーに不規則に並ぶ折れやすいワークを掴み、検査カメラで確認する。

・プレス部品の箱詰め・・プレス後のアルミ板をコンベアトラッキングで指定のコンテナに箱詰めする。多品種あるが指示入力しておけばロボット自体がハンドを取り替え、対応する。

・パン型抜き・・・・・・焼成されたパンの型の位置を捉え、接着部にエアーを当て、型を外しながら積層する。室温50度と従事者には負担がかかる環境だったが、ロボット導入により改善された。

・ポテトサラダ充填・・・トレーに指定量を充填し、少しでも多く見え、かつ手作り感が出るよう広げる作業を自動化。従事者が腱鞘炎になるなど、負担があったため導入した。

 

ロボット導入にあたっては、投資効果の出る工程を検討してください。1直ひとりの省人化では投資効果は出ませんが、労働環境の改善や労働力の補填など、長期的な見方でもいいです。様々な機関の補助金を利用することができます。最も重要なのは、設計段階から試作、稼働後まであらゆる段階における検証です。そういった観点からもロボットシステムインテグレータの活用をお勧めします。

 

第 2 部 現場に改革を  ~ロボット導入による自動化のすすめ~

講師:宮脇機械プラント株式会社 営業部技術課サブマネージャー

     小谷 晋也 氏

 

講演内容の要旨は以下のとおりです。

当社は、工作機械の販売専門商社として1966年に創業しました。SIer(FAロボットシステムインテグレータ)業務を担うシステム技術部は、1996年に技術係から昇格し、生産性向上に向けた自動化提案や加工治具の構想などの業務を行っています。工作機械の専門商社ということもあり、ハンドリング、加工機への投入や取り出しのロボットシステムが、95%を占めます。当社のロボットラボショールームでは、ロボット導入の検討に必要不可欠なアプリケーションのテストなどができますので、是非活用ください。システム技術部では次のように業務を行っています。

・まず、個々の企業からヒアリングを基にシステム設備や戦略構想を提案して、仕様を決め、適したパートナーメーカーに詳細設計&部品製作、組立を依頼します。

・次に導入企業とメーカーと我々の3社で打合せを重ねてシステムを立ち上げ、アフターフォローも対応します。

 

具体的なロボット導入事例は次のとおりです。いずれもイニシャルコストの抑制など、企業の要望に応じながら、何を重要視するかに即した提案をしました。

・旋盤・円筒研削盤加工ロボットシステム・・・100種類を超えるシャフト加工に対応。6軸ロボットは3台の異なるメーカーの有休機を再活用。(イニシャルコストを抑制、測定及び結果の管理が可能)

・マシニングセンター加工ロボットシステム・・・治具交換のためロボットを天吊し、夜間に大量ワークをロボットが加工するようにした。その結果として生じた作業スペースで日中作業員が少数のワークを加工し、ロボットは待機時間にバリ取りをさせて有効活用した。

・工具研削盤加工ロボットシステム・・・研削盤に角柱のワークを入れるため、まず画像センサーで、次にロボット動作と透過型光電センサーで位相を割出す。各種サイズのワークに対応している。

・プレス加工ロボットシステム・・・2本の腕を持つ協働ロボット(※)が1本の腕で鉄板を取ってプレス機へ投入し、もう1本の腕で完成品を取り出しストッカーへ入れる。ロボットにキャスターを付けて移動可能にし、同位置に戻れるようレールを敷設した。

  ※協働ロボット・・・人との協働作業が可能なロボット

 

ロボット導入の際は目的に応じての選択が重要であるため、まずコンセプト、目的を明確にしてください。当社では、ロボットをはじめ、治具、専用機や工作機械、IoT・AIの有効活用など、目的に合ったシステムを提案します。

 

 

今回は、118名の方にご参加いただきました。ご多忙の中ありがとうございました。

 

第4回として2月14日(金)に「ものづくりシンポジウム2020」を開催します。→詳しくはこちら

テーマ『オールジャパンで作る 自動車産業の未来』

自動車産業はいま「電気自動車」「燃料電池車」「自動運転」「コネクティッドカー・IT化」などの新たな技術の登場によって転換期を迎えています。同時に、市場のグローバル化も顕著に進んでおり、ものづくり企業が生き残るためには、今後どのような戦略をとるべきでしょうか?

本シンポジウムでは、自動車関連産業の現状や新技術による影響、最新動向、自動車メーカーにおけるものづくりの面白味ややりがいなどを紹介いたします。

播磨地域のものづくり企業が持続的な成長をしていくためのヒントを見出すための講演会を開催いたします。是非ご参加ください。

Vol.278

播磨産業技術情報vol.278を12月2日に発行しました

発行物:播磨産業技術情報vol.278を発行しました(バックナンバーはこちら



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