世界最高性能の大型放射光施設「SPring-8」における様々な成果の中から、実用化・製品化につながり社会経済全般の発展に寄与することが期待される成果をあげた方々を顕彰し、SPring-8についての社会全体における認識と知名度を高めることを目的として、平成15年度より兵庫県が設置したSPring-8賞の、今年度の受賞者が決定しました。
ついては、8月22日(火)に兵庫県公館において、第15回ひょうごSPring-8賞表彰式を開催するとともに、9月1日(金)には受賞記念講演を、SPring-8の産業利用における成果発表の場である「SPring-8産業利用報告会」において行います。
1 第15回ひょうごSPring-8賞受賞者の決定
(1) 受賞者
トヨタ自動車株式会社 基盤材料技術部 主幹 山重 寿夫 氏
(2) 受賞テーマ
「リチウムイオン電池の反応分布その場リアルタイム観察手法の開発とその応用」
(3) 受賞理由
電気自動車等の優劣の鍵は、航続距離を伸ばし、電池寿命も長い高性能リチウムイオン電池の開発に掛かっており、そのためには、電解液中での充放電時のリチウムイオンの分布・動きをリアルタイムで観察する必要があるが、これまで有効な観察手法がなかった。
山重氏のグループは、通常のリンを含む電解液ではなく、リンよりもX線を透過させにくい重元素を含む電解液にSPring-8の大強度X線を照射して、重元素と結合しているリチウムイオンの分布や動きを観察する手法を新たに開発した。
本技術により電池性能低下メカニズムの解析を進めることで、リチウムイオン電池を搭載した電気自動車等の大幅な性能向上が期待されることから、受賞に相応しい功績を有する。
2 受賞記念講演
第14回SPring-8産業利用報告会において受賞者による受賞記念講演を行います。
(1) 日 時:平成29年9月1日(金)15:20~16:00
(2) 場 所:川崎市産業振興会館(神奈川県川崎市)
(3) 主催者:公益財団法人高輝度光科学研究センター、産業用専用ビームライン建設利用共同体(サンビーム)
株式会社豊田中央研究所、SPring-8利用推進協議会、兵庫県
(4) 定 員:250名程度
3 過去の受賞者
詳細はこちら(兵庫県ホームページ)
【参考】
○SPring-8賞の対象・基準
SPring-8を利用することにより、科学的・技術的な成果を創出し、産業界への技術移転や応用を含め、社会経済全体への発展に貢献した個人、又はグループ(グループの場合は、その代表者)を対象とし、①おおむね5年以内にSPring-8を利用して得られた成果、②実用化・製品化につながった成果又は実用化・製品化されることが見込まれる成果の両方を満たす成果であるもの。公募制で自薦・他薦を問わない。
○主催
ひょうごSPring-8賞実行委員会
会 長 兵庫県知事
委 員 公立大学法人兵庫県立大学学長
SPring-8利用推進協議会会長
公益財団法人ひょうご科学技術協会理事長