第1部
ロボット導入は多品種少量生産に役立つ

代表取締役 髙丸 正 氏
当社は製鉄、自動車、電車、航空機、建設機械などさまざまな分野の製造業に対し、アーク溶接やレーザー溶接を行うロボットの導入を支援する産業用ロボットシステムインテグレーターです。ロボットを単なる大量生産のための手段ではなく、品種に合わせて柔軟に対応し業務を効率化させるためのものと捉え、主に中小企業の多品種生産に役立てる提案をしています。
資金面での不安や慢性的な人手不足などの課題を抱える中小企業と、潤沢な資金があって人材にも困らない大企業では、ロボットによる自動化の目的と手段が根本的に異なります。中小企業の現場では、1品種を大量生産するための自動化ではなく、多様な品種ごとに細かく対応できる自動化により生産性を向上させ、人手不足を解消することが求められます。
また、人間にはできない動きをするロボットは、重さに悩まされることなく自在に制作物を運び、危険を伴わずに溶接作業を行い、不可能だった作業を可能にします。40時間連続運転など、就業時間に捉われず稼働させることもできます。人と同じ方法でロボットに作業させるのではなく、工程全体を見直して費用対効果が高まる導入方法を考えることが大切です。
ロボットは今後、技能を補う装置としても求められると予想しています。事務所や自宅などから遠隔操作できるようにシステム化し、技術を持っていない人でも熟練の技術者と同等の作業を可能とするところにロボットの需要があると考えています。
第2部
最適な自動化により費用対効果が高まる

システム技術部 マネージャー 小谷 晋也 氏
生産現場にロボットを導入する上で大切なことは、現在どのような課題があり、どういった効果を期待しているのかをまず把握することです。当社は工作機械や鍛圧機械の導入を検討している企業に、現状の業務体制や作業工程、求める効果を聞き取り、それを可能とする技術や機械メーカーを提案しています。そして、現場の希望を整理した資料を基に、機械メーカーと共にシステムを構築します。
自動化を考える上でのポイントは、制作物1個当たりの仕上がりに対してではなく、作業全体における生産性の向上です。鍛圧機械でプレスした際に出る廃材を整然と収納するシステムを取り入れた事例では、より多くの廃材を一度に処理できるようになったことで業務の手間を減らすことができました。
その他にも例えば、溶断ロボットシステムを導入した現場では、積み下ろしなどの重労働や危険な作業からの解放をかなえました。さらに、自動化を機に生産工程が見直され、3人の作業者で当たっていた工程に機械オペレーター1人で対応できるようになり、人材不足の解消にもつながりました。
自動化すること自体を目的とするのではなく、それによって大きな効果を得られるように考えることが重要です。ロボットを難しいものとして考えず、制作物の積み下ろし作業や廃材の処理など普段の業務で不便に感じている工程に取り入れることで、成果を実感できると思います。