第4回 ものづくりシンポジウム

第1部
青梅から世界に向けてのものづくり

武州工業株式会社
  代表取締役 林 英夫 氏

新興国との激しい価格競争にさらされている自動車用金属加工部品の製造で実績を重ね、近年では培った技術を生かして医療・介護機器の分野にも挑戦していると現状と、その背景には、業務のIT化とIoTの導入があります。


一人の作業員が材料調達から加工、品質管理。出荷管理まで一貫して担当する一個流しと呼ばれる独自の生産体制で多品種少量生産とコストダウンに成功した同社は、早い段階でIT化に着手。2004年に在庫や生産状況などをウェブ上で管理するシステム「BIMMS(ビムス)を開発し、運用をスタートさせました。システムは棚卸を切り口に倉庫在庫管理や生産実績管理、工程不良管理などが日々決算できる仕組み。当初は、各作業員がタブレット端末を使って入力していましたが、IoTの導入でデータの自動収集が可能になり、生産性の向上や経費削減に大いに役立っています。


中小企業へのIoT普及を進めたいと、今春からシステムをクラウド化して外販する「BIMMS on AWS」には受発注などの一般的な生産管理システムのほか、ipodの歩数計昨日を使って工作機械の稼働状況を調べる独自の技術も搭載しており、生産実績や進捗率などをリアルタイムで計測することで、一日の生産量が平準化できるとメリッットがあります。価格はデータ量で課金する従量制とし、月額1,000円から利用できます。


最後に、IoTの導入で現場の見えなかった部分も”見える化”でき、いろんな分析が可能になりました。経営面ではもちろん、現場にもさまざまな”気付き”をもたらしています。どうゆうの心構えとして、何のために導入するのかという、明確な目的を持つことが大事です。



第2部
IoTによる生産改革 コマツの取り組み

コマツ (株式会社小松製作所)
  専務執行役員CIO兼情報戦略本部長
  生産・産機事業管掌 高橋 良定 氏

当社のIoTへの取り組みは、2001年に「KOMTRAX(コムトラックス)」というシステムを自社の建設機械に標準搭載し、世界中での稼働状況を”見える化”したのが始まりで、どの機械がどの場所にあるか、エンジンが動いているか、燃料がどれだけ残っているかといった情報を遠隔で確認できることから故障を未然に防ぎ、稼働率も上がりました。


次に、建設現場の様々な情報をつなぎ、生産性向上や課題解決を支援するソリューション「スマートコンストラクション」の中核を成すシステム「KomConnect(コムコネクト)について説明します。例えば、施工現場にドローンを飛ばして3次元測量データを取得し、そのデータを読み込んで作業計画やシミュレーションに活用することで、測量や作業の効率化につながり、生産性は飛躍的に高まると言います。

また、スマートコンストラクションを支えているのが、13年から市場への導入を進めているブルドーザーや油圧ショベルといったICT建機で3次元測量データ、3次元施工データに基づく作業機の自動制御により、経験が浅いオペレータでも熟練者と変わらない精度で作業出来るようになリました。作業工程の大幅な削減や工期の短縮のほか、建機周辺に配置する補助作業員が不要になることから人権費削減にもつながります。


操作が簡単なICT建機を使えば、だれでも容易に現場作業ができることから、スマートフォンコンストラクションが現場の生産性を高め、建設業の労働力不足を解消する可能性があり、ICTを駆使した建設現場を運営することで、建設業のイメージアップになり、業界全体の人手不足の解消につながればと、期待しています。



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